ハンニャハラミタ 駕籠真太郎SF短編集 13/100

 普通の本屋に駕籠真太郎の単行本が平積みでおいてあったことにビックリ。残り2冊だったのか2冊だけ入っていたのか。何にせよ書店の担当の人はこの作者の漫画がどういったものか知らないものと伺える。俺が書店で漫画担当ならまず入荷しないもんね。どんなに面白いと思っても決して他人に薦める気にはなれないのがこの駕籠真太郎の作品。これを薦められたら俺だったらその薦めた人の人間性を疑うね。この作者の作品を自ら読む人間は、カルトな漫画読みかグロやスカといった描写が大好きで大好きでたまらない人のどちらかでしょうね。俺がどちらに属するかは言わなくてもわかるよね。

 まあそんな駕籠真太郎の短編集なのですが、今回のものはヤングジャンプヤングジャンプ漫革といった一般誌(非マニア系という意味で)に10年以上前に掲載された作品を集めたものなので、比較的ライトな描写が多い。むしろスラップスティックなものやハードSFといった作品で構成されており、現在の駕籠真太郎の作品とはかなりかけ離れている。しかし、それでも奇妙な世界観やトリップした反体制の人々など駕籠らしい描写も多く、駕籠フリークにとっても安心して読める一冊である。

 ということでこの短編集、駕籠真太郎作品入門書としてはなかなかふさわしい一冊なのではないだろうか。普通の駕籠真太郎の作品だといつグロ描写が現れるかとおっかなびっくり読んでいるが、これだと安心して読めるし。
評価点:6点

追記……なんか駕籠を貶めるような序文を書いてますがこれはいけないと追記を。駕籠は基本的に「笑えるグロ」を書く人ですので氏賀Y太のようなグロを見せるためのグロとは違うということを主張しておきます。