小説エマ 1巻  1/100

エマ5巻

100冊計画の栄えある1冊目は小説版エマです。著者の久美沙織は読んだことはありませんがドラクエの小説版なんかで有名な方ですね。
1巻の始めから終わりまでのストーリーを収録。通常漫画と小説では情報の密度が違うために同じだけ話を進めるのでも冊数が変わってきますが(例えばバジリスクなんかは小説1冊に対し漫画は全5巻)漫画1冊分の内容で小説まるまる1冊というのは、いかに小説版が緻密な描写をなされているのかというのが伺えます。
解説で村上リコさんも書かれていますが、原作のエマでは絵によって緻密な描写がなされているのに対し、この小説ではその緻密な文章表現によって映像が浮かび上がってきます。ウィリアムがどういう風に考え、何を見ているのかということや、エマがどれだけメイドという仕事を大切にしているのかということなどが細かく描写され、原作とはまた違った、深みのある味わいがあります。
しかしちょっとアレなのが途中の会話シーンとかですね。ハキムとウィリアムの会話シーン。砕けた感じのしゃべり方で2人の気安さってのが表現されてるのですが、だからといって途中に(怒)とか挟むのはどうなんですか。それまで雰囲気に浸って読んでいたのが微妙にさまされてしまいました。ちょっとマイナス点ですね。
とにかく、ストーリーは原作に忠実でしたが、読んで良かったと思います。むしろ、原作のことが大好きな人間にこそ読んで欲しい作品かと。
評価点:8点