ニンギョウがニンギョウ 20/100

ニンギョウがニンギョウ (講談社ノベルス)

ニンギョウがニンギョウ (講談社ノベルス)

西尾維新の新刊、ネコソギラジカル下巻じゃないんかい、とツッコミをいれながらこのページ数のわりに1500円と高価なこの1冊を買ってしまいました。なんで高価なのかというと特殊装丁だからなのです。箱入りで薄い和紙のカバーがかかっておりまして、読む分にはカバーが破れないかとヒヤヒヤしながら読んでました。
 
んでいざ読んでみるとまず思ったこと。「何じゃこりゃ」
まあ帯からして何じゃこりゃな内容だったんですが。

映画を見なければならぬ。
――十七番目の妹のために。

十七番目の妹とか言ってる時点でおかしいことに気付くべき何ですがね。裏を見てみると「十七番目の妹が死んだために映画を見なければいけない」みたいなことを言っているわけで。何じゃこりゃ。
という感じで、今までの西尾維新を期待して読むと大はずれかと思います。
 
読んでいて「ねじ式」に近いモノがあるなあと思いました。あの「イシャはどこだ!」の元ネタです。あれは作者が夢に見たモノをそのまま漫画にしたという話を聞きましたが、このニンギョウがニンギョウもまさにそんな感じ。十七番目の妹が何度も死んでいることがごく当たり前のように書かれていたり、映画を見るのに逆さづりになったり、銀行で貰った飲み物がガソリンのような味だったり。この本ではそんな感じの話が徹頭徹尾続きます。通常の話のなかでそんな風にかかれてたら、シュールなギャグが何かだと思いますが、実際に夜見る夢ってそんなもんじゃないでしょうか。どこか話の筋がおかしいのに当然のように、というか疑問に思う余地すらなく納得してしまう。夢ってそんな感じじゃないでしょうか。そんな風に見てみると少しこの本が名作のように思えてきました。

評価点:6点